相続放棄をしても受け取れるお金

文責:弁護士 鳥光 翼

最終更新日:2020年05月18日

1 保険金

 被相続人が生命保険に入っていた場合,生命保険金が支払われることがあります。

 相続人の方が受取人になっている場合(保険金の受取が相続人固有の権利である場合)は,受け取っても法定単純承認事由に該当する行為とはならず,相続放棄ができます。

 ただし,受取る前に,保険会社の担当者に連絡し,受取人が相続人であること,相続人固有の権利として生命保険金を受取ることをしっかりと確認しましょう。

 被相続人が生前に入院等をされていた場合の,損害保険金等については,被相続人の権利である可能性があり,相続財産を構成することもあるので,一先ずは受け取らないようにしましょう。

2 葬儀に対する給付金

 被相続人が国民健康保険等に入っていた場合,健康保険組合等から葬儀の補助のために給付金が支給されることがあります。

 これは,多くの場合,葬儀を行った者に対して支払われると定められており,葬儀を行った者固有の権利と考えられるため,相続財産を構成せず,受け取っても法定単純承認事由に該当する行為にはなりません。

 ただし,実際に申請する際には,給付金の健康保険法や条例をしっかり参照し,葬儀を行った者固有の権利として支給するものであることを窓口で確認しておく必要があります。

3 未支給年金

 被相続人が年金受給者で,月の途中でお亡くなりになると,支払われるべきであった年金(未支給年金)を遺族に支払うことになっています。

 2020年5月現在,国民年金法により,未支給年金は,被相続人の配偶者,子,父母・・・という順番で受取ることができる順位が定められています。

 つまり,未支給年金は被相続人の相続財産ではなく,受取ることができる人固有の権利ですので,受け取っても法定単純承認事由に該当する行為にはなりません。

 もっとも,これも他のお金と同様,受取人固有の権利に基づいて支給されるものであることを窓口で確認しましょう。

 

【参考】⇒国民年金法

 

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